在留資格認定証明書(COE)申請と必要書類チェックリスト
対象:中小建設会社/登録支援機関
概要:建設分野の特定技能で、海外から人材を招へいする際の全体像、時系列の流れ、必要書類(申請人・所属機関・分野別)の実務チェックリストをまとめました。国交省の「建設特定技能受入計画」認定と、入管庁の在留諸申請は“並行できる”ものの、国交省の認定証が入管申請の添付に必要になる点に注意してください。
全体像:3本柱で進める
- 建設特定技能受入計画の認定(国土交通省)
・原則オンライン申請。認定目安は1.5〜2か月(補正期間除く)。雇用開始や技能実習修了の概ね6か月前から申請可。
・受入開始後は受入報告と、CCUS(建設キャリアアップシステム)登録(原則入国後1か月以内のID提示)が必要。
・受入企業は**(一社)建設技能人材機構(JAC)への加入が必要**(正会員団体の会員or賛助会員)。 - 在留資格認定証明書(COE)申請(出入国在留管理庁)
・申請人/所属機関/分野別の書類セットで提出(様式は入管庁HP)。 - 査証申請・入国後手続
・二国間の**協力覚書(MoC)**対象国は、送出し側で独自手続があることが多いので、出発前に要確認。
ポイント:国交省の「受入計画認定」と入管庁の在留諸申請は並行可能ですが、認定証が出ないと在留許可は下りません。スケジュールは逆算で。
スケジュールの目安(海外からの呼び寄せ)
- 6か月前までに:JAC加入/CCUS事前準備、受入計画 認定申請(国交省)開始。
- 3か月前までに:COE申請(入管庁)を目安に申請。分野・地域で審査変動あり。
- 1〜2か月前までに:受入計画認定→COE交付→査証申請。
- 入国後〜1か月:受入報告+CCUS技能者ID登録・届出。
必要書類チェックリスト(COE:在留資格認定証明書)
A. 申請人に関する必要書類
- (1)提出書類一覧表(在留資格認定証明書交付申請用)
- (2)特定技能外国人の報酬に関する説明書
- (3)雇用契約書の写し(本人が理解できる言語併記)
- (4)雇用条件書の写し(勤務カレンダー、変形労働時間制の協定書がある場合は写し)
- (5)賃金の支払いに関する資料(振込等の実務説明)
- (6)雇用の経緯に係る説明書(既受入実績があれば省略可)
- (7)健康診断個人票
- (8)受診者の申告書
- (9)1号特定技能外国人支援計画書(参考様式あり)
- (10)登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(委託する場合)
- (11)二国間取決めで定められた送出し国側の遵守手続書類(該当国のみ)
A群は入管庁の「申請人」「所属機関」「分野」の3分類に沿って整えるのがコツです(最新様式は入管庁HP)。
B. 所属機関(法人)に関する必要書類
- (1)特定技能所属機関概要書
- (2)登記事項証明書
- (3)業務執行に関与する役員の住民票の写し
- (4)役員に関する誓約書
- (5)労働保険関係書類
- 初受入:労働保険料等納付証明書
- 受入中:〔事務委託なし〕概算・増加概算・確定申告書+各領収書(直近2年)/〔事務委託あり〕納入通知書+領収書(直近2年)
- (6)社会保険料 納入状況回答票 or 健保・厚年領収証(申請月の前々月までの24か月分)
- (7)納税証明書(その3)(税務署)
- (8)法人住民税 納税証明書(市町村)〔初受入:直近1年/受入中:直近2年〕
- (9)公的義務履行に関する説明書(適用除外の場合のみ)
実務では(5)〜(8)の証憑を早めに収集しておくと全体進行がスムーズです。様式や提出省略の可否は入管庁の最新一覧で確認を。
C. 分野(建設)に関する必要書類
- (1)技能実習2号良好修了者の場合
①技能検定3級 実技合格証の写し/②技能実習評価試験(専門級)実技 合格証の写し/③技能実習生に関する評価調書(いずれか) - (2)建設特定技能受入計画の認定証の写し(国交省で認定)
- (3)建設分野の受入れに関する誓約書(分野参考様式)
申請前に整えておく実務ポイント
- JAC加入の完了(正会員団体の会員 or JAC賛助会員)—必須。
- 雇用条件の説明書は、本人が理解できる言語で作成(国交省が多言語の参考様式を公開)。
- 報酬水準の説明は、同等の技能を有する日本人との比較根拠(賃金構造基本統計、就業規則等)を文書で説明。
- 受入計画と入管申請の並行は可能だが、認定証が出るまで在留許可は不可。工程表で補正期間も見込む。
- 入国後1か月以内にCCUS技能者IDの提出+受入報告をオンラインで。
- MoC対象国は送出し国手続が必須なことが多い。出国前に現地要件・費用を確認。
よくある質問(FAQ)
Q1. いつから動けばいい?
A. 雇用開始の約6か月前に受入計画の認定申請を出すのが目安。COEは開始希望日の2〜3か月前を目安に。
Q2. 受入計画の認定にどれくらい掛かる?
A. 目安1.5〜2か月(補正期間除く、地域差あり)。
Q3. 自社で支援するか、登録支援機関に委託するか?
A. どちらも可。1号特定技能外国人支援計画を作り、10の支援を確実に実施(委託するなら支援委託契約の説明書を添付)。様式は入管庁の参考様式を利用。
Q4. 建設分野ならではの追加要件は?
A. 受入計画の認定(国交省)、JAC加入、CCUSの活用・届出、現場入場届出書の運用等が特徴です。
まとめ
- 建設は“二段階”(国交省の受入計画認定+入管庁の在留諸申請)となります。
- 書類は申請人/所属機関/分野の3分類で揃えます。
- MoC対象国は現地手続の事前確認を忘れずに。