介護分野で技能実習生を受け入れる場合、他の職種とは少し違うルールや考え方があります。ここでは、介護職種における技能実習について、実務上おさえておきたいポイントを整理してみます。

1.技能実習を行わせる体制に関するもの
(1)技能実習指導員について
技能実習指導員は介護等の技能等について、5年以上の経験を有する者の中から、技能実習生5名につき、1名以上選任している必要があります。また、そのうち1名以上は介護福祉士や看護師等の一定の専門性を有すると認められる者である必要があります。もしくは、介護福祉士出ない場合にはさらに3年以上介護業務に従事し、実務者研修を修了した者であって、申請者(実習実施者)が技能実習指導員としての適格性を認めたものである必要があります。
(2)常勤職員の考え方
技能実習生の受入れ人数は、「常勤職員数」をもとに枠が決まりますが、ここにも注意点があります。
- 技能実習生自身は、人数枠を計算するときの「常勤職員」には含めません。
- ここでいう「常勤職員」とは、介護を主たる業務として行う常勤職員 を指します。
- 計算は 事業所単位 で行います。(法人全体ではなく、各事業所ごと)
「職員数が増えたから、その分実習生も増やせる」と考えがちですが、実習生はカウントに入らない点に注意が必要です。
(3)事業所の要件
受け入れる事業所側にも要件があります。
- 事業所の開設から 3年を経過していること
(「指定通知書」に記載されている指定年月日から3年以上)
立ち上げたばかりの事業所では、技能実習生を受け入れられないケースがありますので、指定年月日の確認が必要です。
(4)実習生ができる業務・できない業務
介護職種の技能実習で、実習生が従事できる仕事にも範囲があります。
- 服薬の介助はできません。
利用者さんの命に直結する部分でもあるため、服薬介助は技能実習生の業務範囲外とされています。
その他のケアについても、受入れ時に「どこまで任せてよいか」を整理しておくことが大切です。その他、夜勤についても実習生が一人だけで夜勤に入ることは認められていません。また、夜勤専従で働くことも認められていません。
2.技能実習生の要件
介護の技能実習においては、日本語要件が求められます。
1号技能実習 N4に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者
2号技能実習 N3に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者
特に、2号申請時点で日本語要件を満たしていない場合 は、
- 日本語学習プランの提出
- 実際の学習内容や学習時間を、技能実習日誌に記録 すること
が必要になります。
実習期間中に N3に合格した場合 は、
- 日本語要件申告書
- 試験の成績証明書
を提出することになります。
まとめ
介護の技能実習は、受入れ側の体制・業務範囲・日本語学習など、確認すべきポイントが多い分野です。
これから介護職種で技能実習生の受け入れを検討されている事業所様は、
- 常勤職員数や事業所の指定年月日
- 指導員の要件
- 夜勤の組み方
- 日本語学習の体制
などを一つひとつ整理しながら、無理のない体制づくりを進めていただければと思います。 (※本記事は、現行の制度をもとにした一般的な整理です。具体の案件については、個別に専門家へご相談ください。)
執筆:ワイズリンクス行政書士事務所 代表 横山 優

