外国人を採用するとき、「在留カードのコピーを受け取ったので確認は終わり」としていないでしょうか。近年は、見た目だけでは判断が難しい偽変造カードや、実在する番号を悪用したカードも確認されています。採用時には、カード原本・読取アプリ・実際の仕事内容をセットで確認することが、会社と外国人本人の双方を守ります。

1.なぜ在留カード確認が重要なのか

外国人を雇用する会社は、採用時に、その人が日本で働ける状態にあるかを確認する必要があります。主に確認するのは、在留資格、在留期間、就労制限、資格外活動許可です。

在留カード表面の「就労制限の有無」が「就労不可」の場合でも、裏面に資格外活動許可が記載されていれば、決められた範囲で働ける場合があります。反対に、カードを持っていても、予定する仕事がその在留資格で認められていなければ採用できないことがあります。

「在留カードを持っている」ことと、「自社で予定する仕事ができる」ことは同じではありません。

在留カードの在留資格・在留期間・就労制限を確認する場面

2.目視やコピーだけでは判断しにくい理由

現在は、券面を見ただけでは本物と区別しにくい精巧な偽変造在留カードが存在します。また、出入国在留管理庁は、実在する在留カード番号を悪用した偽造カードにも注意を呼びかけています。

写真だけを送ってもらう方法の注意点

メールやメッセージで送られたカード写真は、画像自体が加工されている可能性を排除できません。本人に読取アプリを使ってもらい、その結果のスクリーンショットだけを送ってもらう方法も同様です。

遠方の応募者について事前に画像を確認することはできますが、最終的には本人から原本の提示を受け、確認する側が確認作業を行うことを基本にしましょう。

在留カードの原本と加工された画像の違いに注意する採用担当者

3.在留カード等読取アプリケーションとは

「在留カード等読取アプリケーション」は、出入国在留管理庁が提供する無料のアプリです。在留カードに内蔵されたICチップの情報を読み取り、券面の記載や顔写真と見比べることで、偽変造の有無を確認しやすくします。

2026年6月14日改正の外国人雇用管理指針では、外国人雇用状況の届出に際して在留カード等を確認するとき、読取アプリを利用して券面情報との整合性を確認することが適切である旨が示されています。出入国在留管理庁は、アプリと併せて「在留カード等番号失効情報照会」を利用するよう案内しています。

アプリは、必ず公式ストアから最新バージョンを入手してください。

スマートフォンで在留カードのICチップを読み取る場面

4.会社で行いたい4段階の確認

① 本人から原本を提示してもらう

氏名・顔写真を本人と照合し、在留期間の満了日も確認します。表面だけでなく裏面も見ます。

② 券面の就労情報を確認する

表面の「就労制限の有無」と、裏面の「資格外活動許可欄」を確認します。「特定活動」や「特定技能」など、指定書の確認が必要な在留資格では、指定書も確認してください。

③ 会社側が読取アプリと失効情報照会を利用する

本人に利用目的を説明し、同意を得たうえで、採用担当者が原本を読み取ります。画面に表示されたICチップ情報と券面を照合し、失効情報も確認します。

④ 在留資格と実際の仕事内容を照合する

カードが本物でも、それだけで「その会社で、その仕事をしてよい」と保証されるわけではありません。例えば、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」で、業務内容が単純作業のみであれば、在留資格上の問題が生じる可能性があります。

在留カードの確認 → 在留資格の確認 → 実際の仕事内容との照合までを一連の手続にしてください。

在留カード確認から仕事内容照合までの4段階の流れ

5.採用時チェックリストと社内体制

  • □ 在留カード原本を本人から確認した
  • □ 在留期間の満了日を確認した
  • □ 表面の就労制限を確認した
  • □ 裏面の資格外活動許可を確認した
  • □ 必要な場合は指定書・資格外活動許可書も確認した
  • □ 読取アプリと失効情報照会を利用した
  • □ 在留資格と予定する仕事内容が合っているか確認した

担当者によって確認方法が変わらないよう、採用時チェックリストを作り、確認者と記録方法を決めておくことが重要です。在留期限前の再確認も予定表に入れておくと、更新漏れの防止につながります。

なぜ企業側の確認が重要なのかについては、関連記事「外国人を雇う会社が知っておきたい不法就労助長罪」もご覧ください。

外国人採用時の在留カード確認チェックリスト

まとめ

外国人採用では、カードのコピーを保管するだけで終わらせず、原本、読取アプリ、失効情報、仕事内容まで確認する仕組みを作りましょう。採用時の確認を会社の標準手順にすることが、会社と外国人本人の双方を守ることにつながります。

ワイズリンクス行政書士事務所では、在留資格と仕事内容の確認、在留手続、特定技能の支援など、外国人雇用の実務をサポートしています。判断に迷う場合は、採用を決める前の段階で専門家や出入国在留管理局へ確認することをおすすめします。

※本記事は2026年9月4日時点の一般的な情報です。個別の事情により判断が異なる場合があります。