育成就労制度は、原則として3年間、継続して人材を育成する制度です。ただし、農業や漁業のように季節によって仕事量が大きく変わる分野では、一定の条件を満たせば、毎年決まった時期に一時帰国する「季節型」の育成就労計画も認められます。
この記事では、2026年8月14日時点の育成就労制度の運用要領や出入国在留管理庁・外国人育成就労機構の公表資料をもとに、対象分野、6か月以内という休止期間、計画期間の数え方、受入れ企業が準備すべき事項を分かりやすく解説します。
目次
1.育成就労は原則3年間、季節型では毎年の一時帰国も可能

育成就労制度では、外国人が原則3年間、日本の同じ分野で働きながら技能を身につけ、特定技能1号の水準を目指します。このため、通常は3年間継続して育成就労を行う計画を作成します。
一方、業務に季節的な繁閑があり、毎年どうしても仕事が少なくなる時期がある分野では、その時期に外国人が一時帰国し、仕事が再開する時期に再び来日する計画を作ることができます。
これは、仕事がない時期まで日本での雇用を形式的に続けさせるのではなく、実際に働ける期間を毎年そろえることで、年度による稼働期間の不均衡を避けるための例外です。どの分野でも自由に利用できる仕組みではありません。
2.対象は農業・漁業など季節性のある分野

季節型の育成就労計画が想定されているのは、天候や収穫期・漁期などの影響で、特定の時期に業務へ従事できない期間が生じる分野です。代表例として、農業分野と漁業分野が挙げられます。
ただし、「農業や漁業を営んでいる会社だから必ず利用できる」という意味ではありません。制度上、対象となる育成就労産業分野であり、かつ、季節的な業務に対応するための特例が認められる分野・業務であることが必要です。
実際の計画では、作物の種類、栽培・収穫時期、漁期、地域の気候、事業所の年間工程などを示し、なぜ一時帰国を伴う計画が必要なのかを説明できるようにしておくことが大切です。
3.休止は6か月以内・帰国時期と期間は毎年おおむね同一

季節型の計画には、重要な条件があります。まず、一時帰国する期間は1年につき6か月以内でなければなりません。
さらに、一時帰国の時期と期間は、毎年同じであることが基本です。運用要領上は「おおむね同一」でもよいとされ、開始日や終了日が毎年完全に一致しなくても、作柄や天候などの事情によるおおむね1か月程度のずれであれば、同一と扱われる余地があります。
例えば、「毎年12月から翌年3月まで一時帰国する」というように、年間の就労時期と帰国時期をあらかじめ明確にします。受入れ企業の都合だけで帰国時期を毎年大きく変えたり、仕事量に応じてその場で休止期間を決めたりする運用は避けなければなりません。
4.一時帰国期間は3年間に算入されず、計画全体は最大5年6か月

季節型の計画では、外国人が日本で実際に育成就労を行う期間と、一時帰国する期間の両方を、計画全体に含めます。
ただし、一時帰国中の期間は、育成就労の原則3年間には算入されません。みなし再入国許可を利用して日本を離れている期間も同様です。
そのため、毎年6か月の一時帰国期間を設ける場合、実際に日本で育成就労を行う3年間を確保するため、計画全体は最長で5年6か月になることがあります。「3年間の制度だから、最初の来日から必ず3年後に終了する」とは限らない点に注意が必要です。
5.受入れ企業・監理支援機関が事前に確認すべきこと

季節型の育成就労を検討する場合は、受入れ企業と監理支援機関が、少なくとも次の事項を事前に整理する必要があります。
- 年間の就労期間と一時帰国期間を含む育成就労計画
- 季節的に業務へ従事できないことを説明する資料
- 毎年の帰国時期・期間が、おおむね同じになるスケジュール
- 往復の渡航費用の負担方法
- 再入国許可、みなし再入国許可、在留資格認定証明書の手続
- 一時帰国中の社会保険、税金、脱退一時金などの取扱い
一時帰国のための旅費は、本人に負担させることはできません。企業単独型では育成就労実施者、監理型では監理支援機関が負担するのが原則です。
また、トラブルなどにより計画どおりの時期に帰国・再来日できず、期間が大きく変わる場合は、実施困難時届出や育成就労計画の変更認定が必要になる可能性があります。予定変更が生じたら自己判断で処理せず、早めに外国人育成就労機構へ相談することが重要です。
在留手続や社会保険・税務の扱いは、帰国期間や個別の状況によって変わります。制度開始に向けて季節型の受入れを検討している企業は、年間スケジュールを固める段階から専門家や関係機関へ相談すると安心です。
当事務所では、外国人雇用に関する在留資格申請、育成就労制度への移行準備、監理支援機関・受入れ企業の体制整備に関するご相談を承っています。農業・漁業分野で季節型の育成就労を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年8月14日時点で公表されている法令、育成就労制度運用要領、出入国在留管理庁および外国人育成就労機構の公表資料を基に作成しています。制度開始までに運用内容が改訂される可能性があります。
主な参考資料:出入国在留管理庁「育成就労制度」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、外国人育成就労機構「関係法令・運用要領」







