「在留カードを持っているから、働かせても大丈夫」「派遣会社が紹介した人だから問題ない」――外国人雇用の現場で、こう考えてしまうことは珍しくありません。しかし、確認すべきなのはカードの有無だけではありません。在留資格と、実際に担当してもらう仕事内容が合っているかまで確認する必要があります。
不法就労があった場合、責任を問われる可能性があるのは外国人本人だけではありません。会社や、仕事を指示した担当者が「不法就労助長罪」の対象となることがあります。この記事では、中小企業が外国人を採用・配置するときに確認したいポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。
1.不法就労助長罪とは

不法就労助長罪とは、外国人に不法就労をさせたり、不法就労をあっせんしたりした人を処罰する制度です。不法就労には、在留期限を過ぎた人を働かせる場合だけでなく、就労が認められていない在留資格の人を働かせる場合や、認められた活動範囲を超えて働かせる場合も含まれます。
2026年9月時点の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、両方が科されることもあります。さらに、2027年4月1日からは、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、またはその両方へ引き上げられる予定です。
これは、外国人雇用を避けるべきという話ではありません。採用時と配属時の確認を、会社の通常業務として整えることが重要です。
2.社長だけの問題ではない

不法就労を「させた」と判断され得るのは、必ずしも会社の代表者だけではありません。実際に採用や配置、作業指示に関わる人事担当者、工場長、店長、現場責任者なども、事案によっては対象となる可能性があります。
例えば、在留資格上は担当できない作業だと分かりながら、現場責任者が「人手が足りないから今日だけ」と指示した場合です。短期間だから問題にならないとは限りません。
また、派遣社員についても「直接雇用ではないから関係ない」とは言い切れません。派遣先が実際の業務を指示する以上、派遣会社任せにせず、派遣先でも在留資格と担当業務を確認することが大切です。
3.「知らなかった」だけでは済まない場合がある

会社が不法就労であることを本当に知らなかったとしても、在留カードや就労制限を確認していないなど、確認不足という「過失」があれば処罰を免れない可能性があります。
そのため、「本人が働けると言った」「紹介会社から来た人だから大丈夫だと思った」という説明だけでは十分とは限りません。会社側でも、在留カード原本、在留期間、就労制限、資格外活動許可の有無を確認し、記録を残しておくことが実務上重要です。
在留カードの具体的な確認方法については、金曜日公開予定の関連記事で詳しく解説します。
4.在留資格の名前だけでなく、実際の仕事内容を確認する

外国人雇用で最も重要なのは、「在留資格」×「実際の仕事内容」をセットで確認することです。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人を採用しても、その人に認められる活動とは異なる単純作業だけを継続的に担当させれば、在留資格上の問題が生じる可能性があります。カードが本物で、有効期限内であることだけでは、予定する仕事が適法だと自動的に決まるわけではありません。
採用時の求人票、雇用契約書、社内の職務記述、実際の現場作業に食い違いがないか確認しましょう。異動や応援勤務で仕事内容が変わるときにも、再確認が必要です。
5.入管法と労働法の両方を見る

外国人雇用では、在留資格を定める入管法だけでなく、最低賃金、残業代、労働時間、労働条件の明示など、通常の労働法令も守る必要があります。
ただし、労働法違反が一つあれば、直ちにすべて不法就労になると単純に断定できるものではありません。具体的な事実関係や法的評価が必要であり、解釈上の議論を含む場面もあります。
会社としては「外国人だから別の管理をする」のではなく、通常の労務管理に、在留資格の確認を一つ加えると考えると整理しやすいでしょう。
6.会社で作りたい確認体制

最低限、次の項目を採用・配属時のチェックリストにしてください。
- 在留カードの原本を確認する
- 在留資格と在留期間を確認する
- 就労制限と資格外活動許可を確認する
- 雇用契約上の仕事内容と、現場で担当する仕事を照合する
- 賃金、労働時間、残業代などの労働条件を確認する
- 異動や業務変更の際にも再確認する
人事部だけが知っていても、現場で別の仕事を指示すれば確認体制は機能しません。工場長や店長などにも、「外国人スタッフの業務を変えるときは人事へ確認する」というルールを共有しましょう。
まとめ|確認を会社の仕組みにする
外国人雇用は、特別に恐れる必要はありません。ただし、通常の労務管理に加えて、在留資格と仕事内容の確認が必要です。
在留カード、在留資格、就労制限、実際の仕事内容、労働条件を確認する仕組みを会社内に作ることが、会社と外国人本人の双方を守ります。
判断に迷う配置や業務変更がある場合は、実施してから修正するのではなく、事前に出入国在留管理庁や専門家へ確認することをおすすめします。ワイズリンクス行政書士事務所では、外国人採用時の在留資格確認や手続について、企業の実情に合わせた支援を行っています。
※本記事は2026年9月1日時点の一般的な情報です。個別の事案については、最新の法令・公式資料をご確認ください。




















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