特定技能外国人の受入れが決まり、「在留資格の許可が出てから部屋を探せばよい」と考えていないでしょうか。

実際の住居探しでは、外国人が入居できる物件が限られるうえ、家賃、通勤、保証会社の審査、家具・家電、インターネット環境まで同時に確認する必要があります。特に地方の工場などで勤務する場合、通勤できる範囲に候補がほとんどないこともあります。

この記事では、制度上求められる支援と、登録支援機関として実際に支援を進める際の課題・工夫を分けて解説します。

目次

  1. 住居確保は1号特定技能外国人への義務的支援
  2. 外国人が入居できる物件そのものが限られる
  3. 本人の希望と通勤条件を両立しにくい
  4. 在留申請と住居探しを同時並行で進める
  5. 契約手続と保証会社の審査にも準備が必要
  6. 家賃以外の生活開始費用も確認する
  7. 住居確保支援を円滑に進める7つのポイント

1.住居確保は1号特定技能外国人への義務的支援

1号特定技能外国人を受け入れる企業には、適切な住居を確保するための支援が求められます。支援の全部を登録支援機関へ委託している場合は、登録支援機関が支援計画に沿って実施します。

出入国在留管理庁の運用要領では、本人が住居を確保していない場合、希望に基づき、主に次のいずれかの方法で支援するとされています。

  • 物件や不動産仲介事業者の情報を提供し、必要に応じて同行する
  • 適当な連帯保証人がいない場合、受入れ機関等が保証人になるか、家賃債務保証業者を確保して緊急連絡先になる
  • 受入れ機関等が借りた住居、または所有する社宅等を、本人の合意のもとで提供する

ただ物件サイトのURLを渡せば終わり、という支援ではありません。一方で、制度上、受入れ企業や登録支援機関が本人の家賃そのものまで負担することが一律に求められているわけでもありません。制度上の義務は、本人が円滑に適切な住居を確保できるよう支援することです。

外国人が入居できる賃貸物件を支援担当者と比較している様子

2.外国人が入居できる物件そのものが限られる

物件情報サイトに掲載されている部屋が、すべて候補になるわけではありません。物件や貸主の条件によっては「外国人不可」「永住者のみ可」とされていることがあります。

そのため実務では、まず外国人が入居できる物件を確認し、その中から本人の希望に合う候補を絞ります。外国人の入居支援に慣れた不動産会社や、外国語対応が可能な保証会社との連携があると、確認が進めやすくなります。

都市部と地方における特定技能外国人の住居探しと通勤環境の違い

3.本人の希望と通勤条件を両立しにくい

本人が家賃の安さを重視することは少なくありません。しかし、家賃だけで決めると、毎日の通勤や生活に無理が生じることがあります。

確認したいのは、勤務先までの距離、最寄り駅、徒歩・自転車・公共交通機関の利用可否、家賃、敷金・礼金等の初期費用、家具・家電、インターネット環境などです。

都市部は物件数や交通手段が比較的多い一方、家賃や初期費用が高くなりやすい傾向があります。地方は家賃が抑えられても、駅や勤務先から遠く、自動車がなければ通勤できないことがあります。特に地方の工場では、「外国人が入居可能」「予算内」「通勤可能」の3条件を満たす物件が非常に少ないケースがあります。

在留申請と住居探しの予定を並行して調整する支援担当者

4.在留申請と住居探しを同時並行で進める

在留資格の許可後に初めて住居を探すと、就労開始日に間に合わない可能性があります。雇用契約を締結する段階から候補地域や予算を確認し、在留申請の準備と並行して探し始めることが大切です。

ただし、許可前に賃貸借契約を確定すると、審査が長引いた場合や不許可になった場合にも、家賃や解約費用が発生するおそれがあります。早く探すことと、早く契約を確定することは同じではありません。

申込み、審査、契約開始日の各段階を分け、不動産会社に事情を説明しながら、在留申請の進捗と入居予定日を調整します。オンライン内覧ができる物件も有効です。

5.契約手続と保証会社の審査にも準備が必要

不動産会社や保証会社によって、必要書類や審査方法は異なります。在留カード、雇用条件書、収入見込みが分かる資料、国内外の緊急連絡先などを求められる場合があります。母国の親族へ連絡が入ることもあります。

契約先の運用によっては印鑑を求められる場合もあるため、必要かどうかを早めに確認しておくと円滑です。なお、印鑑が法律上すべての賃貸借契約で必須という意味ではありません。

入居前に確認したい家具家電と有線LAN・Wi-Fi環境

6.家賃以外の生活開始費用も確認する

一般的な賃貸住宅には家具や家電が付いていないことが多く、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、机、椅子、寝具、照明器具などを本人が準備する場合があります。

家賃の安い物件でも、購入費や配送費を加えると負担が大きくなることがあります。入居前に、備え付け設備と本人が用意する物を一覧にすると安心です。

「インターネット無料」と表示されていても、Wi-Fiがすぐ使えるとは限りません。有線LANのみでWi-Fiルーターが必要な場合や、回線契約そのものが別途必要な場合もあります。母国の家族との連絡にも欠かせないため、利用方法まで確認しましょう。

7.住居確保支援を円滑に進める7つのポイント

  1. 雇用契約締結の段階から物件探しを始める
  2. 外国人入居に対応できる不動産会社と連携する
  3. 家賃だけでなく、通勤時間と初期費用も比較する
  4. 海外にいる本人にはオンライン内覧も活用する
  5. 保証会社の審査資料と連絡先を早めに準備する
  6. 家具・家電、照明、Wi-Fiの利用方法まで確認する
  7. 在留申請の進捗と契約日・入居日を調整する

特定技能外国人の住居確保支援は、単なる物件紹介ではありません。本人の希望、企業の所在地、通勤環境、在留申請、契約手続、入居後の生活までを一つの流れとして調整する仕事です。

とりわけ地方では、準備の開始が遅れるほど選択肢が少なくなります。登録支援機関には、外国人本人と受入れ企業の双方の事情を理解し、円滑に就労と生活を始められるよう調整する役割が求められます。

ワイズリンクス行政書士事務所では、行政書士・登録支援機関・有料職業紹介事業者として、採用前の相談から在留手続、入国・入居後の支援まで一貫して対応しています。住居確保を含む支援体制に不安がある場合は、受入れ準備の早い段階でご相談ください。


参考:出入国在留管理庁「特定技能運用要領」「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月13日確認)